Twitter / sokohjo1: さっき日本音楽著作権協会から電話が掛かってきた。JA ...
あらあらまたカスラック案件かうふふ、なんて一瞬思ってしまったが、はてなと。
「雅楽」というのは音楽ジャンルの1つだった筈だ。少なくとも私はそう認識してる。具体的な楽曲名ではない筈だ。
とある音楽ジャンルに対して「それは1000年前の物ですよ」と言われるのはどうにも不自然に感じる。つまりそれは、1000年前には在ったが今は廃れた、それ以降新曲が作られてもいないという事になる。
その存在が今も伝わっており、岩佐氏本人のように実際に演じる人も居る。なのにそんな事が有り得るのだろうか?
調べてみた。
「雅楽」は「1000年前の楽曲」なのか?
もし、「雅楽」の定義に「1000年前の曲」という物が含まれているのであれば、話はそこまで。岩佐氏の主張は正しい事になる。
Wikipediaには以下の記述が在る。
現在においては、
- 国風歌舞(くにぶりのうたまい) ? 日本古来の歌謡をもとに平安期に完成された、神道や皇室に深い関わりをもつ歌舞。
- 大陸系の楽舞 ? 5世紀頃から9世紀頃までの間に大陸から伝わった楽舞をもとに日本で作られた、中国、天竺、林邑系の唐楽(とうがく)と、朝鮮半島、渤海系の高麗楽(こまがく)。
- 謡物(うたいもの) ? 日本古来の民詩や漢詩に節づけをし、大陸からの渡来楽器による伴奏をともなう平安期に作られた歌曲。
の三つに大別される。
確かに、謡物については平安期に作られた歌曲
と時期の指定があるが、残る2つには時期の指定がない。
更に、現代雅楽の存在についての言及が在る。例えばそこで言及されている武満徹氏は1996年に没しているので、武満徹氏の楽曲の著作権保護期間が切れるのは1996+50で2046年。2012年現在、彼の雅楽曲は著作権の保護期間内だという事になる。
Wikipediaだけでは不安なので他の辞書にも当たってみたが、時期を制限する文言は見当たらなかった。例えば広辞苑第4版では以下の通り。
(雅正の楽、すなわち宮廷音楽の意)奈良時代前後に中国・朝鮮などから輸入した楽舞とそれを模した日本製の楽曲の唐楽と高麗楽。広義には日本の古楽に由来する神楽・久米舞・東遊びなどや、唐楽・高麗楽の影響下に作られた声楽の催馬楽・朗詠をも含めた宮廷音楽全般を指し、竜笛・笙・篳篥を主楽器とする。舞を伴う時に舞楽ともいう。
つまり、雅楽だからといって著作権が存在しないという事はあり得ない。著作権の保護期間外だという事もあり得ない。
「がらく」という読みについて
Googleで「雅楽 がらく」で検索してみると、「雅楽」と書いて「がらく」と読ませる物が幾つも見つかる。
検索結果1ページ目にして5件も見つかった。
世の中にこんなにも「雅楽」の読みを間違えている人が居るとは考えがたい。これは私の想像ではあるが、「雅楽」を「がらく」と読ませる文化、風習(例えば方言など)が実際に存在しているのではないだろうか。もしそうであれば、それをもって学がないように言われる筋合いは誰にもない事になる。
これについては、もし何らかの情報をお持ちの方が居られたら教えて頂きたい。
雅楽は1000年前の音楽という事はない。しかも現代においても新曲が作られているという。であるならば、岩佐氏の言説は誤りであるし、JASRACが雅楽の楽曲の著作権管理を信託されている事は大いに有り得る。氏が「雅楽は1000年前の音楽」というオレオレ定義を振りかざすのは勝手ではあるが、それを他人に強いるのは如何な物か。
確かに、JASRAC職員の"上から目線
"は誉められた物ではないし、JASRACが横暴な態度を取ったという話もしばしば聞く。しかし、だからといってどういう理屈で糾弾しても良いという訳ではない。
"勉強しろよ
"と言われるべきは、雅楽の世界に居る筈の岩佐氏自身なのかもしれない。
2012年12月13日20時45分追記
既に@sophizm氏によって同じ指摘が為されている事に、この記事を投稿した後で気づいてアバー!となっている。私の記事より明瞭な文章だし。ぐぬぬ。
JASRACが雅楽の公演に突っかかるのはおかしい!がおかしいたった一つの理由。 - @sophizmの日記
2012年12月14日20時39分追記
JASRACより、岩佐氏への問い合わせについての文章が公開された。それとそれに関連する岩佐氏のtweetへのURLを記録の為以下に記す。