2012年07月19日

文字は戦争――「ユニコード戦記 文字符号の国際標準化バトル」を読んだ

ユニコード戦記 文字符号の国際標準化バトルを読んだ。

コンピュータは本来数値("0"と"1"の2種)しか扱う事が出来ない。そこで、文字一つ一つに番号を割り当てる事で、コンピュータ上で文字を扱えるようにしている。例えば、"a"に1、"b"に2……"z"に26と割り当てれば、"2 12 15 7"で"blog"と言う文字列を表現出来る。文字の符号化とは、このような「それぞれの文字に数値を割り当てる」事を言う。"ユニコード"(Unicode)とは、その世界的な決まりの1種であり、世界中の文字を符号化しようという規格である。

本書は、そのユニコードの規格制定の内側を記した物である。

日頃PCを使っている人の中で、ユニコード等の符号化文字集合(所謂文字コード)規格やその技術を知る人は多くないだろう。ましてや、その規格制定の場でのやりとりとなると。日頃お世話になっていながらも、なかなか意識する機会の無い部分を知る事の出来る絶好のチャンスである。

「国際標準化なんて、ドンパチと騙し合いの世界だからなあ」

「戦い…、戦記ですね」

本書に書かれている規格制定の場は、こう後書きに記されているとおり、正に「戦い」だった。

例えば、日本側の要求を通す為に他国(多言語)の要求に便乗したり、他国への単純な好悪勘定からその国の権限を認めようとしなかったり。或いは、自国の用いている言語に関する部分の規格制定にその言語のユーザーが関わっていない点を突いて、やり直しを求めたり。

地道に文字一つ一つに番号を振っていくだけかと思っていたので、このような政治的な争いの場であるとは思わなかった。

日頃お世話になっている規格がどのように決められているのか、その場でどのようなやりとりが成されているのか。そういった事に思いを馳せるのも良いのではないだろうか。

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2012年06月09日

あなたが観ている世界はみんなが観ている世界? ――「色のユニバーサルデザイン 誰もが見分けやすく美しい色の選び方」を読んだ――

このように見えている人がいるのをご存じですか?という一文と、同一内容で色味の異なるイメージが複数種載った表紙が先ず目を引く。

色弱者や高齢者の『物の見え方』、そしてそのような人々にも分かり易い色の使い方――色のユニバーサルデザイン――について記されているのが本書である。

そもそもの色がもたらす役割や、色とはどういう仕組みで認識されるのかといった点から解説されている、チュートリアルとしての側面の強い本である。

[「色のユニバーサルデザイン 誰もが見分けやすく美しい色の選び方」68頁]

一般色覚者の場合と色弱者の見え方をシミュレートした物、それをどのように変えれば色弱者にとっても見やすくなるかの例を示す写真も幾つか掲載されており、必見である。

此処に引用したのは68頁に掲載されている例だが、一般色覚者から見たらそれ程違わない場合でも、色弱者(この場合は赤色の光が見難いP型)からしたら劇的に分かり易くなる事が示されている。

もし、現在あなたに色覚の異常がなくても、あくまで少数派だからと、他人事と決めつける訳にもいかない。後天的に色覚に異常をきたすケースも有り得るし、そもそも、人間誰でも加齢により細かい色の違いが判別出来なくなっていくのだ。自らが作った物が、将来、自分に牙を剥く事もるのだ。

表紙には、印刷物やウェブを制作する自治体、企業、クリエイター必読と書かれているが、それも頷ける。プロに限らず、趣味で印刷物やウェブページを行う個人にとっても必要な知識なのではないだろうか。
そういったデザインをする予定が無くとも、色弱者の見え方の例を眺め、自らと全く異なる「世界の見え方」の人が居るのだという事を知るだけでも価値が有るだろう。

一般色覚者
色弱者
本記事では、紹介している書籍内にて定義されている言葉を使用している。
少数派
単純に「半数に達していない」というだけの意味。あしからず。
ラベル:Book design Health
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2009年08月08日

設定資料集のあり方

同人の弾幕系STGに、東方Projectという物がある。それの公式設定資料集として、東方求聞史紀という書籍が販売されているが、これが非常に良く出来ている。
いや、上手くまとめてあるとかそういう話ではなく、この設定資料集自体の設定が。

この東方求聞史紀という公式設定集、物語世界のキャラクターが自ら調べて編纂した、という事になっている。

この方法の利点。それは、その物語外部の視点(神の視点)で綴られたものではない、という事。
つまり、記述内容に間違いが含まれていても問題にならないのだ。

既に完結した話のものならば兎も角、そうでない、続編が作られている状態の作品では、資料集刊行時に設定の矛盾が無かったとしても、今後出て来ないとも限らない。話を作るのが人間である以上、ど忘れやうっかりで既存の設定と矛盾する新設定を作ってしまう可能性がある。

さて、もしそういった矛盾を含む新設定を作ってしまった場合、どうなるか。もし、設定資料集が『神の視点』で作られている場合、訂正の機会はない。旧設定か新設定か、どちらかを『無かった事』として完全無視するしかない。黒歴史化である。

対して、登場人物によりまとめられたものだとした場合はどうなるか。『その人物の勘違いだった』の一言で自然に訂正出来るのである。

これは、現実の世界でも起こる現象とよく似ている。
例えば、日本最古の貨幣は何だと言われていたか?和同開珎が日本最古の貨幣とされていたが、新たに富国銭が発見される事によってそれは覆った。人類の『勘違い』で教科書他の『設定資料集』と異なる事実(=『設定』)が産まれたといえる。

posted by 天井冴太 at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする

2009年05月18日

ゆるゆるでふわふわな妖精さんライフにやられた――人類は衰退しました

いいえ、あなたたちはほのぼの遺伝子を持つコミカル生命体です。

図書館で借りて読んだけど、OK、これは買おう。

というわけで、田中ロミオ著、人類は衰退しましたを読んだ。

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は"妖精さん"のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。私は、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の"調停官"となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なのだろうとこの職を選んだわたしは、さっそく妖精さんたちに挨拶に出向いたのですが……。

まぁどんな話なのかは上に載せてる粗筋読んでもらうとして

主人公と妖精さん達のほんわかなやりとりを読んでいても楽しいが、要所要所にちりばめられたネタにも思わずニヤリとしてしまう。リクライニングチェアの背もたれ思いっきり倒して、暖かいコーヒーだか紅茶だかと一緒にリラックスして読みたい本。

SFが読みたい! 2009年版―発表!ベストSF2008国内篇・海外篇に3巻が載っているところから考えるに、一応ジャンルはSFと言う事になるんだろうと思うが、むしろファンタジーではないかと思う。確かに未来の話ではあるし、一部ハイテク機械(ソーラーカー)も登場するが、タイトルの通り人類は衰退していてかなり文化レベルも下がっている訳だし。

人類は衰退しました表紙 ところで、山﨑透氏による表紙イラスト。いや主人公の髪型がまたぶっ飛んでるなーと言うのもあるけど、
実は最初、周囲の妖精さんに全く気付かなかった。
主人公が中央に大きく描かれている為それに視線が誘導された事もあるかと思うけど、主人公の輪郭線が太かったり服装がコントラストのハッキリした色だったり、妖精さんや背景(ガラクタの山)が同じような淡い色で書かれている所為だろうなぁ。

表紙イラストで、ちゃんと妖精さんが描かれているのに気付いたのが実は読了した後で、恐らく狙ってやっているんだろうな-、と、すごく『やられた』感を感じた。

粗筋読んでもらうとして
超手抜き。
ラベル:Book SF
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2007年04月30日

世にも奇妙な職業案内

貴方は社会人?それとも学生?
社会人なら仕事は何?そうじゃない人は目指す職業は?
社会人でも転職を考えている人もいるだろう。なら転職先の職業は?
販売員?プログラマ?刑事?野球選手?役者?それとも……

世の中には色々な職業がある。先ほど挙げたようなよく知られた職業もあるが、そうでないものも在る。そういった職業を集めた本が、ナンシー・リカ・シフ世にも奇妙な職業案内と、その続編世にも奇妙な職業案内 増感号だ。

例えば、ゴルフボール・ダイバー男子トイレサービス係におい鑑定人レゴモデル製作者女装学校校長おならの臭い減少下着開発者自由の女神ダウザーボール・テスタークラゲ養殖人、etc.etc......確かにそういう職業も在るだろうなと納得出来るものから、そんな職業が在ったのか!と驚くようなものまで、全部で129種の職業を紹介している。

この本のオススメポイントは、何と言っても、実際にその職についている人の写真と、著者による気の効いた紹介文だ。それによって『ただの職業案内』には無いリアリティを感じる事が出来る。

実際に、『世にも奇妙な職業』に付くかどうかは別として、『世の中にはこんな職業の人が居るのか!』というオドロキを体験する為にも、読んでみては如何だろうか。

におい鑑定人
日本では資生堂のAg+のCMに出演した事があるので知っている人もいるかもしれない。
ダウザー
ダウジング・ロッドで地下水脈を探し当てる人の事。
全部で129種
世にも奇妙な職業案内で65種、世にも奇妙な職業案内 増感号で64種。
ラベル:Book 感想
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2007年02月06日

♪この道ーはー、いつか来たみーちー♪――『ゲーム大国ニッポン 神々の興亡』を読んだ

ゲーム代好き小池天井さん、という訳で。ゲーム大国ニッポン 神々の興亡 2兆円市場の未来を拓いた男たちを読んだ。

この本はその名の通り『如何にして日本がゲーム大国となったか』が纏められた本だ。1977年『ASCII』や『I/O』、『マイコン』といったマイコン情報誌の発行から、2001年『プレイステーション2』や『ゲームキューブ(当時コードネームである『ドルフィン』と呼ばれていた)』、『X-Box』が発表された頃までを、当時を知る様々な人々への取材で纏めたものだ。簡単なゲーム史の本として読むのもいいかもしれない。日本のゲーム史が情報誌への読者投稿作品から始まった事や日本発のTVゲーム機『テレビテニス』はTVとの接続がコードレスだった事など、興味深い事盛りだくさんだ。

『I/O』が投稿作品を販売し作者にロイヤリティを払っていた事などは、現在のMicrosoftの取り組みに繋がるようで特に興味深い。素人の作品がゲーム業界に広まっていた過去のように上手く行くだろうか?

♪この道ーはー、いつか来たみーちー♪

この本が扱っている範囲は『2001年まで』と書いた。最終章(エピローグ)ではそれからの予想について触れられている。記述から考えて、『プレイステーション2』『ゲームキューブ』『XBox』といった(当時の)次世代機が発表されて直ぐぐらいだろう。その中で、『3強ではなく、セガを含めた4強になるのではないか』と言う意見がある事が紹介され、この本の筆者(滝田誠一郎氏)はそれに疑問を投げかけている場面がある。

プレステ2と同じ百二十八ビットのCPUをもち、通信機能をも標準で組み込んだドリームキャストは、確かに新世代ゲーム機と呼ぶに相応しい高性能マシンである。新世代ゲーム機第一号といってもいい。

((略))

((略))ゲーム機としては贅沢過ぎるのではないかと思うくらいのスペックになっている。

((略))

発売時のドリームキャストの定価は二万九八〇〇円。これで売れなかったら「ウソ!?」という気にさえなる高性能であり、低価格だ。

ところが、だ。NEC製のグラフィックスエンジン「パワーVR2」の供給が不足したこともあり、セガは九十八年から九十九年にかけての年末年始商戦でのスタートダッシュに失敗する。いきなり躓いてしまう。

年末年始で一〇〇万台……という販売計画はすぐさま「九十九年三月末まで――」と修正され、にもかかわらず三月末時点での販売台数は九〇万台にとどまった。((略))

その後も、起爆剤となるようなゲームソフトに恵まれなかった事もあり、ドリームキャストは低空飛行を続けている。性能でははるかにプレイステーションを凌駕していながら、しかし、1世代前のプレイステーションを脅かす存在にすらなれなかった。

なにやらこれと同じような状況を今見ているような……PLAYSTATION3とか

PLAYSTATION3も、ブルーレイディスクの開発が遅れにより供給が不足し年末年始商戦でのスタートダッシュに失敗性能でははるかに任天堂のWiiを凌駕していながら、脅かす存在とは(少なくとも現時点では)なれていない。値段もハード性能的にはこれで売れなかったら「ウソ!?」という気にさえなる高性能であり、低価格らしい。

勿論ドリームキャストはセガでPLAYSTATION3はSONYと販売会社が違うが、過去同じような事が在った事をSONYは忘れていたのだろうか。ドリームキャストの『その後』を考えると、PLAYSTATION3の将来に不安を覚えるのは私だけだろうか。

「ハードウェアの性能とゲームの面白さってあんまり関係ないんだよね。プレステに比べてセガサターンの性能が劣るということが数年前によく言われたけど、でも、プレステ用ソフトでヒットした年間ベストファイブとかってみると、全部サターンでもできるんですよ、やろうと思えば」(スーパーワープ・飯野賢治)

「自分のやりたいことが、ハードの性能に制限されてるっていう意識はあんまりないんですよね。プログラマー意識の強い人ほどハードの魅力は感じると思うんですけど、ぼくなんかはある意味じゃスーファミ(スーパーファミコン)でも、作ろうと思えばおもしろいものは作れると思ってますから。
ハードの性能で絵はどんどんすごくなるけど、どうだすごいだろってな感じで絵ばかり見せられても退屈なだけだと思うし」(アーマープロジェクト・堀井雄二)

任天堂の屋台骨を支えているゲームクリエイター・宮本茂は、当然といえば当然だが、自社のゲーム機(NINTENDO64)の一歩先を行くドリームキャストやプレステ2を羨ましいと思ったり、それ様にソフトを作ってみたいという気持ちはないという。
「任天堂のハード上で自分がやりたい事はすべて実現できていますので、他のハードの上で何かを作ってみたいという気持ちはないですね」

素人
ここでは『企業でない人』程度の意味で使っている。
上手く行くだろうか?
個人的には上手くいって欲しい
『3強ではなく、セガを含めた4強になるのではないか』と言う意見がある
ご存知の通り、セガがハード部門から撤退し、そうはならなかったのだが。

なお、文中の『ゲーム』はコンピュータゲームの事です。念の為。

posted by 天井冴太 at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする

2007年01月28日

興味は勉学の原動力――『武器甲冑図鑑』を読んだ

世界史嫌いでも楽しめる本

私は世界史が嫌いだ。アッチコッチ場所がポンポン飛び回って現在何処の歴史をやっているのか分からなくなるし、早口で言ったら絶対に舌を噛むだろと突っ込みたくなるような憶え難い名前がポンポン出て来るからだ。

私はゲームが好きだ。日本人の御多聞に漏れずPRGもよくやる。そしてPRGといえばファンタジー世界ファンタジーといえば中世欧風世界だ。

ある日武器甲冑図鑑という本を発見。世界史は嫌いだがゲームが好きな私は読んでみた。

ヨーロッパを中心に古代から近代までの武器や兵について書かれている。ハッキリ言って、面白かった。世界史嫌いな私でも楽しく読める。ゲームで聞いた事があるような単語が出て来る出て来る今まで文字(単語)としてしか知らなかった武器が、イラストと平易な説明文で掲載されている。例えば『グラディウス』。剣だという事を知っている人は多いと思うが、ではどんな剣なのか?何時、誰が、どのように使っていたのか?『ロング・ソード』と『ショート・ソード』の境目は何処か?等など。

古代から順に読んでいくと、武器や戦略の発展の様子が分かって非常に面白い。

興味は勉学の原動力

そうやって考えてみると、成る程『興味』は勉強に凄く役立つんだなぁ、と実感。学校での勉強で、そういった事を絡めて教えてくれていればなぁ、とかチョロッと自分が勉強出来ない事を学校の所為にしてみたりしてみなかったり。勿論時間的にキビシイのかもしれないが、『結局全然憶えられませんでした』や『喉元(試験とか)過ぎたら忘れました』なんかに比べたら全然マシだと思うのだが。
…………ど、どうよ!?

私は世界史が嫌いだ
日本史もダメダメじゃないか、というツッコミは無しの方向で。
PRGといえばファンタジー世界
必ずという事はないが、そんなイメージなのは確か。
ファンタジーといえば中世欧風世界
必ずという事は(ry
posted by 天井冴太 at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする

2006年12月26日

『多数決とジャンケン』が意外と良本だった

パッと表紙を見た瞬間、何となく気になる本ってのがたまに在る。今回読んだ多数決とジャンケン ものごとはどうやって決まっていくのかもそんな本の1冊だった。

この本は『物事を決める手段』について書かれている。『物事を決める手段』といっても色々あるが、誰か力の強いものが暴力で意見を押し通すという方法ではなく、多くの人が納得できる、ものごとの決め方についてだ。その例として、正しいと主張する人の多い意見を取り入れる方法である『多数決』と『選挙』、運を天に任せどの意見でも採用される可能性が平等な『ジャンケン』『コイントス』『くじびき』が取り上げられている。

本当に興味深い。例えば『多数決』の章では、意見が割れた時により多くの人が賛同出来るよう修正案を出す、と云う事について触れられている。自分が小学生の時にも『多数決』をやった事があるが、修正案が出た、なんて事があった記憶は無い。少数派になって悔しい思いをした事も多い。当時この事を知っていれば……

他にも『平等なように見えて実はアンフェアな多数決や選挙』『ジャンケンの手の数を増やすとどうなるか』『コイントスは本当に平等なのか』『あみだくじでアタリを見つける方法』『多数決やジャンケン以外の様々な決定方法』等など面白い記述が満載だ。

対象はどうやら小学生ぐらいだと思われるが意外と大人が読んでも面白い本かもしれない。小/中学生が世の中の意思決定方法を学習する為の教科書として、またそれ以上の年齢でもそれぞれの手段についての復習として非常に最適な本ではないかと思う。

対象はどうやら小学生ぐらいだと思われる
かなりの数の熟語に振り仮名が付いていた事、あとがき(の、謝辞に相当する部分)に『講談社児童局』という記述が在る事から判断。
posted by 天井冴太 at 22:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする

2006年08月07日

萌えを研究?

ついカッとなって(ry

何の話かと言うと、萌えの研究という本の事である。新聞に広告が出ていて気になっていた本だが、図書館で借りてみた。

近くの図書館には無く、県内の別の図書館に有ったので取り寄せてもらった……。





……あー、うん。
表紙見た瞬間引いた。図書館で借りようとか思うなら、前以て覚悟しておいた方がいい。『萌え』というより、『エロい』から。

内容としては、出版社から「『萌え』に関する本書いて」と依頼された著者が『萌え』の世界を驀進して行くその過程。ラノベから始まり、TRPG、美少女ゲーム、マンガ、アニメまで多岐に渡りいろいろな物に触れられている。

あとがきでも述べられているが『研究』というよりは『体験レポート』といった感じか。正直『萌え』に対する心理学的な面の解説とかを期待していたのだが、まぁこれはこれで各作品に対する考察とか有って面白かった。『萌え』という世界/現象全体を捕らえそれを解析するものではなく、『萌え』を構成する(あるいは源流と思われる)各作品をみて、それらの何処に『萌え』が存在するのか、何故『萌え』を感じるのかといった考察が述べられている

最初に想像していた物とは違ったが、なかなか面白く読めた。『あ、これ読んでみたい/見てみたい/やってみたい』と感じた物も幾つか見つかったし。(ぉ

心理学的な面の解説とか
序章に少し関する記述あり。そのものズバリな文献としては『戦闘美少女の精神分析』(斉藤環 太田出版)というのがあるらしい。
ラベル:萌え Book
posted by 天井冴太 at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする

2006年07月29日

『パラドクス』

何となく図書館で気になったので借りてみた。富永裕久氏の図解雑学 パラドクス

そもそもパラドクスってなんのこっちゃ?よく聞く言葉ではあるが「じゃあどういう意味よ」と言われるとよく判らなくなってしまう。この本によると現在は「逆理、逆説」を意味しており、辞書を引くと「相互に矛盾する命題が、共に帰結し得ること。また、その命題」と説明されているとある。え?よく分からない?大丈夫、俺もよく分からないorz

最もこの本、論理学での正確な『パラドクス』だけではなく『それっぽい物(パラドクスモドキ)』も取り上げられている。ハッキリ言ってどれが『パラドクス』でどれが『それっぽい物』なのかヤッパリよく分からないが。まぁ、面白ければいいのである。うん、そういう事にしといて。

実際非常に面白い。例えば『「私が今言っている事は嘘です」は嘘か本当か』『女の子を望む夫婦が増えると男の子が増える』『解き方によって全く違う答えとなる問題』『アキレス(俊足な神)はカメを追い越せない』『エメラルドの色は本当に緑か』『「この世界」が本当にリアルである事は証明出来ない』等など……他にもいろいろ載っており、どれも興味を惹かれる内容だ。

特に『エメラルドの色が~』『「この世界」が本当にリアルである事は~』辺りは凄い。自分が無条件で信じている『常識』に疑問を持つ機会を与えてくれる。

ところで、中には私には納得できない物もあった。例えば、『シュレーディンガーの猫』。『確率でしか表せない』と言うが、それこそ『ラプラスの悪魔』にとっては前以て決まりきっていた事だと云えるのではないだろうか。確率のように見えるのは単に我々人間がその法則性をまだ知らないだけの話で。

シュレーディンガーの猫
簡単に説明してみる。ある現象(ラジウム崩壊)を感知すると毒を出す装置の中に猫を入れる。その現象が発生したかどうかは確率でしか分からないので、装置を開けてみるまで中の猫は『生と死が半分ずつ重なっている状態(確率50%の場合)』と言う何ともワケワカラン状態と云う事になる、というもの。ホントにワケワカラン。
ラプラスの悪魔
全ての出来事は全て予め決まっていて不確定な事は何も無い、というもの。この悪魔は万物の動きを予測、未来を正確に言い当てる。例えば、今あなたはこのblogのこの記事をこの時間に読んでいる訳だが、悪魔は「それは何億年も前から既に決まっていた事だ」と言う(悪魔が嘘を言っているというのは無しで)。
ラベル:Book logic
posted by 天井冴太 at 18:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする

2005年02月05日

ゆかいな御返還。

……と、まぁ、タイトルにも誤変換かけた所で(ォィ)、本文行ってみましょう。

クラスメートのSに、なかなかイイ本を貸してもらいました。

ゆかいな誤変換。 (ヨシナガ著/イースト・プレス)

僕の見た秩序。というサイトを運営されている、ヨシナガさんという方の本です。
自らのサイトで募集した『バカ』で『笑える』誤変換から厳選したネタをピックアップしてあります。

 例)
 ちょっと休憩しよっ☆ → ちょっと求刑しよっ☆ (本書オビより)

……カルいです。ありえません。なんで『求刑』で☆付くんスかあんたっ!!

抱腹絶倒間違い無しです。と言うか実際笑いました。腹よじれそうでした。

……て言うか、よく見てみたら、2005年2月5日 初版第1刷発行……出来立てほやほやじゃないですか。これ。

とりあえず、amazonへのリンク張っときます。→ゆかいな誤変換。
[ゆかいな誤変換。書影]

posted by 天井冴太 at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする

2004年04月17日

スポーツを見るという事 (『鳥人計画』を読んで)

注意: 以下の文章では、小説中の事件の動機に深く関係している部分に触れています。。未読の方は先に小説を読んでから以下の文を読まれる事をお勧めします。何しろ推理小説ですから……

スポーツに生きる人間は、勝つことだけを要求される。見る側にしても、非人間的な強さを求めている。ソウル・オリンピックでベン・ジョンソンはドーピングをしていたとして金メダルを剥奪され、世間の非難を浴びましたね。しかしその非難も、勝手な建前主義から出ているにすぎないのです。大部分の人間は、内心なぜ検査に引っ掛かるようなミスをしたのかと歯ぎしりしている。(略)あの時選手の中にも彼を非難する声は多かったが、『ベンはドジな男だ』というのが本音でしょうね。あるいは、『そんなに効果があるものなら、自分も試してみたい』というところかな。

この世界では非人間的な方法を使ってでも勝てば評価されるのですよ。カルガリでジャンプ陣が、ソウルで柔道陣が惨敗したときの世間の声を覚えていますか。今はもう誰も、参加することに意義があるなどといってはくれません。国家予算を使っていく以上は、どんなことをしてでもメダルをもぎとってこい、ただしバレるな――これが世間の本音なんですよ。

以上の文章は、全て、鳥人計画(東野圭吾著 角川文庫)からの引用です。(『鳥人計画』のあらすじは省略します)作中で、ある人物が自分の行った事に眉をひそめた人物に対して言った言葉です。
……皆さんは、どう感じますか?

上記の意見に対し、幾らかの嫌悪感を持った、と云うのがほとんどの人の意見ではないでしょうか。しかし、いざ、オリンピックでも始まろうものならば、「日本はメダルいくつ取れるか?」「○○や××は、1等になれるか?」「記録は?」「世界新は?」と云う事にコダワル人がほとんどでしょう。(私も、その一人です。)
少し、考えてしまいます。

特に、今年はオリンピック・イヤーです。『原点回帰』をテーマとして、会場は再びアテネとなりました。我々応援する側も、ただ『勝つ』事だけを求めるのではなく、メダルの数だけを求めるのではなく、他のモノを評価する努力もしたいものです。

posted by 天井冴太 at 20:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする

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