「トレンドマイクロ社より連続誤検知問題の根本原因だったウイルスバスター不具合の修正が完了した旨連絡がありました - INASOFT 管理人のふたこと」に拠ると、INASOFTの矢吹拓也氏とTrendMicro社との間のトラブルに(一応の)片が付いたようで。
将来の為に簡単に経緯を記録しておくと、以下のようになる。
- 2012年5月上旬、TrendMicro社のアンチウィルスソフト「ウイルスバスター」が、INASOFT製フリーソフト「すっきり!! デフラグ」をコンピュータウィルスだと誤検出しだす。
- 2012年5月下旬、同「ウイルスバスター」が、今度はINASOFT製「いじくるつくーる」をウィルスだと誤検出しだす。
- 2012年7月10日、INASOFT、誤検出が一向に解消されずむしろ悪化している事に憤り、「いじくるつくーる」「すっきり!! デフラグ」の更新停止を表明
- 2012年10月6日、INASOFT、ソフトウェア更新の休止を表明。
- 2013年3月31日、INASOFT、「
トレンドマイクロ社のウイルスバスターがインストールされた環境での使用の『禁止』
」「トレンドマイクロ社の社員・従業員とその家族が利用することの『禁止』
」を条項に加えた上で、ソフトの更新を一時再開。 - 2014年1月20日、TrendMicro社、誤検知を引き起こしていた根本原因を修正した旨を、同社取締役副社長大三川彰彦氏名義の正式な文章にて回答。
なお、現時点では、INASOFT製ソフトの更新再開については何もアナウンスされていない。件の2ソフトは彼方此方で紹介されるような高名なソフトであった訳で、その動向が注目される。
……で、当記事では、この問題自体ではなく、少し脇にひっそりと控えている問題点について。
「重要なお知らせ: INASOFT 管理人のひとこと」には以下の記述がある(引用部の強調は天井冴太による)。
加えて、過去に、ブログや「管理人のふたこと」では、トレンドマイクロ社のサポート担当になりかわり、私が代筆する形で状況を皆様にお知らせして参りました際、「作者の側ばかり発表している」「トレンドマイクロ社側の見解がないのはおかしい」「作者の言うことは信用できない」という声も聞かれましたことから、それを教訓ととらえ、そのような方々(トレンドマイクロ社の発言だけを信じるという方々)にも声が届くよう、トレンドマイクロ社の実質的な責任者であり、それなりの肩書を持つの方の声がお届けできるようにしました。
これは、非常に恐ろしい事だと思う。
つまり、AとBの間でトラブルがあったとして、Aが状況を正しく説明しても、Bが無視を決め込めば、例え10割Bが悪かったとしても、それが信用されない(信用しない層が一定数居る)という訳で。この場合、Bは事実を認めるよりも、対外的には何もアクションを起こさない方が得だという事になる。
「もめ事は双方の意見を聞いた上で判断しろ」とよく言われる。自らの言い分を表明しないという事は、相手の言い分が全面的に正しくて反論出来ないからだ、少なくとも、そう受け取られても構わないという事だと、私は今まで認識してきた。しかし、実際はそうではなかったようだ。
前述の通り、「いじくるつくーる」「スッキリ!! デフラグ」は高名なソフトで、故に話題を呼び、各種ニュースサイトが取り上げた訳である。
しかし、もし、これが私のような、知名度も何もない泡沫開発者だったとしたらどうなっただろう。苦情を申し立てても無視されてしまったかも知れない。
何故なら、そちらの方が得だから。より信用を得られるから。
「片方からの見解が発表されない」事を「そのような問題は実際には発生していない(言いがかりである)」と捉える層が居るというのは、なんと恐ろしい事か。相手の規模が無視出来る程小さいと判断出来るのであれば、例えその主張がどれほど真っ当であろうとも、無視するのが最善となり得るのだから。
- 無視されてしまったかも知れない
- この記事では、TrendMicro社がそこまで誠実でないと断定する事は目的としていない。一般論としての話である。
ウイルスバスターの不祥事を知ってから、自分や家族、
知人のパソコンに抱き合わされているウイルスバスターを偽のウイルス対策ソフトとして削除しています。
アマゾンのレビューでも「騙されて買ってはいけない」と。
トレンドマイクロが問題を把握した時点で、Webレピュテーションなんて破棄した方が解決が早かった。