2007年02月06日

♪この道ーはー、いつか来たみーちー♪――『ゲーム大国ニッポン 神々の興亡』を読んだ

ゲーム代好き小池天井さん、という訳で。ゲーム大国ニッポン 神々の興亡 2兆円市場の未来を拓いた男たちを読んだ。

この本はその名の通り『如何にして日本がゲーム大国となったか』が纏められた本だ。1977年『ASCII』や『I/O』、『マイコン』といったマイコン情報誌の発行から、2001年『プレイステーション2』や『ゲームキューブ(当時コードネームである『ドルフィン』と呼ばれていた)』、『X-Box』が発表された頃までを、当時を知る様々な人々への取材で纏めたものだ。簡単なゲーム史の本として読むのもいいかもしれない。日本のゲーム史が情報誌への読者投稿作品から始まった事や日本発のTVゲーム機『テレビテニス』はTVとの接続がコードレスだった事など、興味深い事盛りだくさんだ。

『I/O』が投稿作品を販売し作者にロイヤリティを払っていた事などは、現在のMicrosoftの取り組みに繋がるようで特に興味深い。素人の作品がゲーム業界に広まっていた過去のように上手く行くだろうか?

♪この道ーはー、いつか来たみーちー♪

この本が扱っている範囲は『2001年まで』と書いた。最終章(エピローグ)ではそれからの予想について触れられている。記述から考えて、『プレイステーション2』『ゲームキューブ』『XBox』といった(当時の)次世代機が発表されて直ぐぐらいだろう。その中で、『3強ではなく、セガを含めた4強になるのではないか』と言う意見がある事が紹介され、この本の筆者(滝田誠一郎氏)はそれに疑問を投げかけている場面がある。

プレステ2と同じ百二十八ビットのCPUをもち、通信機能をも標準で組み込んだドリームキャストは、確かに新世代ゲーム機と呼ぶに相応しい高性能マシンである。新世代ゲーム機第一号といってもいい。

((略))

((略))ゲーム機としては贅沢過ぎるのではないかと思うくらいのスペックになっている。

((略))

発売時のドリームキャストの定価は二万九八〇〇円。これで売れなかったら「ウソ!?」という気にさえなる高性能であり、低価格だ。

ところが、だ。NEC製のグラフィックスエンジン「パワーVR2」の供給が不足したこともあり、セガは九十八年から九十九年にかけての年末年始商戦でのスタートダッシュに失敗する。いきなり躓いてしまう。

年末年始で一〇〇万台……という販売計画はすぐさま「九十九年三月末まで――」と修正され、にもかかわらず三月末時点での販売台数は九〇万台にとどまった。((略))

その後も、起爆剤となるようなゲームソフトに恵まれなかった事もあり、ドリームキャストは低空飛行を続けている。性能でははるかにプレイステーションを凌駕していながら、しかし、1世代前のプレイステーションを脅かす存在にすらなれなかった。

なにやらこれと同じような状況を今見ているような……PLAYSTATION3とか

PLAYSTATION3も、ブルーレイディスクの開発が遅れにより供給が不足し年末年始商戦でのスタートダッシュに失敗性能でははるかに任天堂のWiiを凌駕していながら、脅かす存在とは(少なくとも現時点では)なれていない。値段もハード性能的にはこれで売れなかったら「ウソ!?」という気にさえなる高性能であり、低価格らしい。

勿論ドリームキャストはセガでPLAYSTATION3はSONYと販売会社が違うが、過去同じような事が在った事をSONYは忘れていたのだろうか。ドリームキャストの『その後』を考えると、PLAYSTATION3の将来に不安を覚えるのは私だけだろうか。

「ハードウェアの性能とゲームの面白さってあんまり関係ないんだよね。プレステに比べてセガサターンの性能が劣るということが数年前によく言われたけど、でも、プレステ用ソフトでヒットした年間ベストファイブとかってみると、全部サターンでもできるんですよ、やろうと思えば」(スーパーワープ・飯野賢治)

「自分のやりたいことが、ハードの性能に制限されてるっていう意識はあんまりないんですよね。プログラマー意識の強い人ほどハードの魅力は感じると思うんですけど、ぼくなんかはある意味じゃスーファミ(スーパーファミコン)でも、作ろうと思えばおもしろいものは作れると思ってますから。
ハードの性能で絵はどんどんすごくなるけど、どうだすごいだろってな感じで絵ばかり見せられても退屈なだけだと思うし」(アーマープロジェクト・堀井雄二)

任天堂の屋台骨を支えているゲームクリエイター・宮本茂は、当然といえば当然だが、自社のゲーム機(NINTENDO64)の一歩先を行くドリームキャストやプレステ2を羨ましいと思ったり、それ様にソフトを作ってみたいという気持ちはないという。
「任天堂のハード上で自分がやりたい事はすべて実現できていますので、他のハードの上で何かを作ってみたいという気持ちはないですね」

素人
ここでは『企業でない人』程度の意味で使っている。
上手く行くだろうか?
個人的には上手くいって欲しい
『3強ではなく、セガを含めた4強になるのではないか』と言う意見がある
ご存知の通り、セガがハード部門から撤退し、そうはならなかったのだが。

なお、文中の『ゲーム』はコンピュータゲームの事です。念の為。

posted by 天井冴太 at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック