パッと表紙を見た瞬間、何となく気になる本ってのがたまに在る。今回読んだ多数決とジャンケン ものごとはどうやって決まっていくのかもそんな本の1冊だった。
この本は『物事を決める手段』について書かれている。『物事を決める手段』といっても色々あるが、誰か力の強いものが暴力で意見を押し通すという方法ではなく、多くの人が納得できる、ものごとの決め方
についてだ。その例として、正しいと主張する人の多い意見を取り入れる方法である『多数決』と『選挙』、運を天に任せどの意見でも採用される可能性が平等な『ジャンケン』『コイントス』『くじびき』が取り上げられている。
本当に興味深い。例えば『多数決』の章では、意見が割れた時により多くの人が賛同出来るよう修正案を出す、と云う事について触れられている。自分が小学生の時にも『多数決』をやった事があるが、修正案が出た、なんて事があった記憶は無い。少数派になって悔しい思いをした事も多い。当時この事を知っていれば……
他にも『平等なように見えて実はアンフェアな多数決や選挙』『ジャンケンの手の数を増やすとどうなるか』『コイントスは本当に平等なのか』『あみだくじでアタリを見つける方法』『多数決やジャンケン以外の様々な決定方法』等など面白い記述が満載だ。
対象はどうやら小学生ぐらいだと思われるが意外と大人が読んでも面白い本かもしれない。小/中学生が世の中の意思決定方法を学習する為の教科書として、またそれ以上の年齢でもそれぞれの手段についての復習として非常に最適な本ではないかと思う。
- 対象はどうやら小学生ぐらいだと思われる
- かなりの数の熟語に振り仮名が付いていた事、あとがき(の、謝辞に相当する部分)に『講談社児童局』という記述が在る事から判断。
このような過疎blogへようこそ。
まさか、著者自身からコメントをいただけるとは思いませんでした。有難う御座います。
駆け引きベタな私の目から鱗が何枚も落ちるような本でした。
『多数決とジャンケン』著者の加藤良平です。
自著の関連情報を新規に調べるうちにたどりつきました。
お読みいただき、またご紹介いただき、ありがとうございます。
おっしゃる通り、メインの対象は小学校高学年から中学生
なのですが、実は大人にとってのかけひきも意識しています。
「反対者の多い政策を打ち出してそこを争点にすれば勝ちやすい」
というのは、一昨年の郵政総選挙、そして今回の東京オリンピック
をめぐる都知事選もそうですが、まさに本書の主張でもあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。