2009年08月08日

設定資料集のあり方

同人の弾幕系STGに、東方Projectという物がある。それの公式設定資料集として、東方求聞史紀という書籍が販売されているが、これが非常に良く出来ている。
いや、上手くまとめてあるとかそういう話ではなく、この設定資料集自体の設定が。

この東方求聞史紀という公式設定集、物語世界のキャラクターが自ら調べて編纂した、という事になっている。

この方法の利点。それは、その物語外部の視点(神の視点)で綴られたものではない、という事。
つまり、記述内容に間違いが含まれていても問題にならないのだ。

既に完結した話のものならば兎も角、そうでない、続編が作られている状態の作品では、資料集刊行時に設定の矛盾が無かったとしても、今後出て来ないとも限らない。話を作るのが人間である以上、ど忘れやうっかりで既存の設定と矛盾する新設定を作ってしまう可能性がある。

さて、もしそういった矛盾を含む新設定を作ってしまった場合、どうなるか。もし、設定資料集が『神の視点』で作られている場合、訂正の機会はない。旧設定か新設定か、どちらかを『無かった事』として完全無視するしかない。黒歴史化である。

対して、登場人物によりまとめられたものだとした場合はどうなるか。『その人物の勘違いだった』の一言で自然に訂正出来るのである。

これは、現実の世界でも起こる現象とよく似ている。
例えば、日本最古の貨幣は何だと言われていたか?和同開珎が日本最古の貨幣とされていたが、新たに富国銭が発見される事によってそれは覆った。人類の『勘違い』で教科書他の『設定資料集』と異なる事実(=『設定』)が産まれたといえる。

posted by 天井冴太 at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書的つれづれ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック